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採用担当が語る、20代での転職成功の秘訣とは?【三谷産業】

20代のうちに転職しようかどうしようかと、迷っている皆さんもいらっしゃるでしょう。そんな皆さんの気になる点について、採用担当者の本音を探るインタビュー企画。今回ご協力いただいた三谷産業株式会社は、1928年創業の歴史ある上場企業です。自身も転職を経験し20代の採用に多く関わる人事本部人事部採用・研修課の上野淳さんにお話を伺いました。

三谷産業株式会社 東京本社 人事本部 人事部採用・研修課 上野 淳 さん

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上野さんは、新卒で学生援護会(現:インテリジェンス)に入社。営業担当として求人広告を売っているうち、徐々に「広告を売った後のこと、具体的には(求人広告経由で)採用された人たちの教育に興味を持つようになっていった」という。少しずつ自社内で企画提案をしていったものの、会社がインテリジェンスに買収されたのを機に、自身がやりたいこととの乖離が大きくなったことから転職を決意。人材紹介・派遣会社を経て「人を大事にする会社である」ことに魅力を感じ、三谷産業に入社。教育担当として入社後、現在は研修と並行して新卒・中途両方の採用に携わっている。

転職してうまくいかないのはどんな人?

ご自身も転職経験を持つ上野さん。自らの経験と採用担当としての視点から、転職してうまくいかない人についての見解を伺った。

「やりたいことがあるからそれを掴み取りに転職するというのはいいですけど、周りを見ていて思うのが、もうこの会社でやることないから転職しようと考える人って大抵失敗していますね。それよりも本当に自分がやりたいことができる環境を求めていかないと。目的がない転職が一番ダメですね」

若手の中には、短期間で転職を繰り返す人も少なくない。この現状についてどう感じているのだろうか。

「今の環境が嫌だ、今の会社に入って失敗したなどと言って転職する人って多いですね。面接でいろいろな人の話を聞くと、はじめはかっこいいことを言っていても、しばらく話すうちにあれもやりたくない、これもやりたくないなどと出てきて、本当の転職理由はもしかして現状から逃げたいだけなのかも、という印象を受けます。今の会社の中でやれることや自分のやるべきことが、まだまだあるんじゃないでしょうか。それらから目を背け、大した経験もなく飛び出してしまう人が多いように感じます」

自分がやりたいことがはっきりしないうちに、安易に会社を飛び出しているように感じるようだ。

転職を焦りすぎる20代

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上野さんは、20代の採用に携わる中で気になる点があると言う。

「まず、『(転職を)焦っちゃダメ』と言いたいですね。今の会社に居づらいな、辞めたいなと思って、自分で勝手に期限を区切ってしまう人がいます。例えば今12月なら(翌年)3月いっぱいまでなど決めてしまう人が多いですけど、そういう人ほど自分の決めた期限内になんとか転職したいと焦ったりしがちです。今の会社で積める経験は本当にないのか、そしてこれから自分は何をやっていきたいのかということを、今一度考えることが大切だと思います。考えることをせずに、転職を繰り返してしまっている人をよくみます」

若くして転職を繰り返してしまうと、面接すらしてもらえない会社も中にはある。

「当社の場合、転職経験何社以上は書類選考を通過しないというような基準はないです。ただ、経験社数が増えてくれば、当然理由を詳しく聞きます。理由があれば、そこは正直に話してほしいし、やましいことがなければみんな(理由を)オープンにできるはずです。転職する理由を自分の中ではっきりさせ、伝えることが大切です」

人物重視の採用とは

「求人募集でよくみられるが、具体的にどのように選考に反映されているのか分からない」という読者も多い代表的な2つの質問を、上野さんに聞いてみた。

1つ目は「人物重視の採用」。人物重視とはどういうことなのか、いまいちわかりにくいと感じたことはないだろうか。上野さんが思う「人物重視」の採用とは。

「会社によって多少違いはあるかもしれません。当社の採用では『ちゃんと自分の意思で物事を決めてきた人か』という点をみています。先ほどの転職経験にも通じるところですが、理由をちゃんと説明できるかどうかもポイントです。立派なことである必要はありません。なんでその仕事を選んだのと聞かれたときに、友達や親の意見に流されたと見えるような回答をされると、いざというときに自分で責任をとれない人だと判断されると思いませんか。やはり、自分事として考えられる人かどうかというところが重要です。残業が少ないとか福利厚生が充実しているとか、そういう環境面に魅力を感じてくれるのは嬉しいですが、その環境を利用して自分の能力をどう活かそうと考えているかについて、しっかり面接官に伝えられる人が次の選考に進めていますね」

自分で決めたことを自分の言葉で相手に伝えられるか、ということがポイントなのだ。

「転職活動の際に『この会社を受けてみよう』と思うきっかけと、実際に転職する会社を一社選ぶという決断とは、皆さん結構違ったりすると思います。受けたきっかけは親や友達だったかもしれませんが、実際に働く会社を決断するのは自分であるべき。親や友達に言われたら何でも従うのかといったら違いますよね。若い人は自分に自信がない方が多く、安易な理由で決めたりする人もいるように思います。みんな自分たちが思っている以上に立派な方が多いのですから、もっと自信を持っていいと思いますよ。成績が悪いからとか、こんなことしかやってきていないです、と話している人が、案外面白い経験していたり、話し方さえ変えてくれれば次のステップに進めるのにと思うことも結構あります」

企業が求める「コミュニケーション能力」とは

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先述の「人物重視」と同様に「コミュニケーション能力」という言葉も、求人募集でよくみられるのではないだろうか。上野さんが考える「コミュニケーション能力」についても伺った。

「決して流暢に話せなくてもいいです。それがコミュニケーション能力だと思っている人がいますが、違います。やりたいことを見出して、自分の言葉で分かりやすく伝えられる、その自信があるかということだと思います。自分が言わなければならないことを、限られた時間の中で伝えられていれば問題はない。また、相手の状況に合わせて言葉を選ぶというようなことができれば、さらに良いと思います」

上野さんは、同社での事例を紹介してくれた。

「当社にはいくつか海外拠点がありますが、正直そこまで英語が堪能ではない人も活躍しています。それはなぜかというと、伝えようという熱意があるからじゃないかと思います。逆にいくら英語が堪能でも、しゃべるコンテンツが無くて、内容が薄っぺらかったらダメですよね。それと一緒だと思います」

話がうまいからコミュニケーション能力が高いわけではない。限られた時間の中で自分の思いを、熱意を持って伝えられているかどうかが求められているといえるだろう。

会社の教育体制から見えること

転職先の会社を選ぶ際、教育体制は気になるポイントの一つだ。社員教育にも携わる上野さんからみて、見極めるうえで注意したほうが良いと感じるのはどのようなところだろうか。

「短い研修期間ですぐに現場に、といった言葉に踊らされている若手が多くいてかわいそうだなと思いますね。例えば研修期間が2週間だとして、2週間で現場に出られるということは、あなたの代わりも2週間で作られてしまうってこと。逆に研修が長いと大変そうだと感じる人もいると思いますが、それだけあなたへの期待が大きく、重要な仕事を任せてもらえるということにちゃんと目を向けてほしいです」

なお同社では、入社後1カ月半の教育を実施している。

「座学で教えるだけではなかなか理解しきれないので、現場で見学してもらうようにしています。1カ月半の集合研修の後も、入社後10年間“人財”を育てるという方針のもと、複数年にわたり、ベトナム研修や旅館加賀屋でのおもてなし研修などを独自に実施しています」

研修を厚く実施できるということは、それだけコストがかかることでもある。その点を踏まえ、上野さんはこのように話してくれた。

「当社の研修は贅沢だと思いますよ。当社は財務データを全て開示しているので、一応どこの部門も利益を出していることは理解していただけると思います。でも、応募者でこのあたりを見てくる人はまだまだ少ないですね。転職先の会社を選ぶ際に『この会社は安定していないから』などという人がいますけど、安定しているかどうかを判断するにあたって、有名か否かで判断し、財務データを正しく見ていない人もいます」

会社が安定しているかどうかを「大手だから」「上場企業だから」といったことで判断しようとする人がいるが、上野さんからすると「歯がゆい」という。研修の充実度と合わせ財務データをみることも、会社を選ぶ際に必要なことなのだ。

目的と手段は違う

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最後に、転職を考えている20代へのメッセージを伺った。

「私自身も28~29歳くらいのときに漠然と、30歳前に転職したいなと思ったことがありました。周りからもいろいろあおられましたし。今思えば転職が目的になってしまっていました。でも目的と手段は違いますので、そこをはき違えないようにしてほしいですね。転職はあくまでやりたいことをやるための手段。仕事を決めるということに対して、もう少し落ち着いて考えたほうがいいのでは。

社会人としてのスタンスって、若いころにある程度決まってしまうと思います。自分が必要とされる人になるためには、定期的に自分のことを振り返って、自分にとっての目的を考えて、これを大事にしていきたいということを若いうちに築き上げることが重要です。転職にあたって誰にも相談しないというのはもったいないので、客観的に第三者から意見を聞いたりするといいと思います。例えば大学のキャリアセンターでも、第二新卒の方の相談を受け入れたりしていますし。今は情報が増えて、一人で抱える量も多いと思います。自分がどう見えているのかということをぜひアドバイスしてもらったうえで、他人任せにならず自分の軸をしっかり持って会社を選んでいただけたらと思います」


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著者情報

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浅賀 桃子
慶應義塾大学卒業後、ITコンサルティング会社人事などを経てカウンセラーとして独立。2014年ベリテワークス株式会社として法人化。ビジネスパーソンのメンタル不調者やキャリアチェンジに悩む方のケアを中心に、カウンセリング実績5,000名超。予防カウンセリングに強みを持ち、ストレス・メンタルヘルス・キャリアデザインなどのセミナー多数開催。CDA登録キャリア・コンサルタント、メンタルヘルス・マネジメント検定I種、ストレスマネジメントファシリテーターなどの資格を持つ。