ホーム > ブログ > キャリア > タイムカードを押す前に制服に着替えるべき?始業前のデリケートな疑問

タイムカードを押す前に制服に着替えるべき?始業前のデリケートな疑問

故郷にUターンし、地元では名の知れたA社に就職したBさん。A社では制服の着用が義務付けられています。会社からは入社が決まった後の面接で、始業前に制服に着替えてからタイムカードを押し、始業時間からすぐに仕事ができるようにと言われていましたが、Bさんは「時間を無駄にしたくない会社の言い分もわかるけど、制服に着替える前にタイムカードを押すべきではないか」と疑問に思いました。

制服に着替える時間は労働時間である

業務を行うための準備の時間は、業務に付随する行動としてみなされるため、労働時間となります。制服着用が社則で決められている場合は、制服に着替える時間は労働時間としてみなされますので、本来はタイムカードを押してから着替えるべきです。その代わり、迅速に着替えを行う必要があります。

■事務職も製造現場職も同じ

制服着用が義務付けられている場合、事務職でも製造現場職でも同じように、制服に着替える時間は労働時間としてみなされます。

特に製造業の場合、制服に着替えてからタイムカードを押し、タイムカードを押してから着替えるという現場も多いのではないでしょうか?製造業では社員の動きが直接製品の原価として計算されるため、特に中小企業には、着替えの時間は利益を生まない無駄な時間として、労働時間に入れない傾向があります。しかし、これは間違った考え方で、社員が着替える時間が惜しいなら、着替える時間も製造原価に含めて製品価格を決めていくべきです。

業務開始前の準備時間も労働時間とみなされる

業務開始前には制服に着替えるだけではなく、会議や営業資料を準備したり、作業に用いる道具などをセットしたりする必要があり、これらは労働時間になります。また、現場が社外にある場合、会社に一度集合して現場に移動する時間も労働時間となります。就業規則に定められている始業時間前であったとしても、会社に集合した時点で業務が開始されているとみなされるからです。逆に、自宅から現場に直行する場合は、現場が遠く現場到着時間が通常の始業時間より遅くなったとしても、現場に着くまでの時間は労働時間とはみなされません。

ポイントは会社の指揮命令権下にあるかどうか

労働時間とみなされるかどうかはシチュエーションによって変わるだけに、判断基準に迷ってしまうかもしれません。ポイントは「会社の指揮命令権下にあるかどうか」ということになります。会社の指揮命令権下にあるとは、直接会社から指示や命令を受けた場合だけではなく、規則として決まっている場合や、労働時間外に積極的に仕事の準備をすることが人事評価のポイントになるといったなどの間接的な圧力が及ぶ場合も対象になります。

会社が労働時間として認めてくれない場合はどうしたらいい

中小企業の場合、社長の鶴の一声で社内のルールが決まってしまうところが多いです。したがって、社長の考えが変わらない限り、法令無視のルールを変えることは現実的に難しいといえます。まずは上司や総務部などに「始業時間前に制服に着替える時間は労働時間というのが正しいのではないでしょうか?」と質問を投げかけてみましょう。ワンマン社長の会社なら、「社長に話しても無駄だ」という答えが返ってくるかもしれません。そのような状況になった場合は、労働局や監督署に相談してみましょう。相談はできるだけ、電話ではなく足を運んでみることをお勧めします。あなたの熱意が伝わって、会社への指導など早めに動いてくれるかもしれません。

始業時間前の準備は労働時間に含まれる

始業時間前の業務の準備は労働時間に含まれます。「郷に入っては郷に従え」とあきらめるのではなく、おかしいことはおかしいとはっきり言うことが現状を変える第一歩となります。


あわせて読みたい!

始業時間より1時間早く出勤したら注意された!自分の意志で時間外に仕事をするのはNG?

祝日に出勤したのに、休日出勤手当が出ない?!知っておきたい休日出勤の基礎知識

休憩時間に電話応対しなくてもOK?知っておきたい休憩時間の基礎知識

関連記事

著者情報

著者アイコン
井上 敬裕
社会保険労務士・中小企業診断士 補助金・助成金の申請エキスパートとして江戸川区を中心に活動している。申請の実績は経産省系では「ものづくり補助金」「創業補助金」、厚労省系では「キャリアアップ助成金」「キャリア形成促進助成金」「建設労働者育成確保助成金」など。経産省系と厚労省系という全く分野の異なる補助金・助成金をワンストップで扱える数少ない専門家の一人である。