ホーム > ブログ > レポート > 育児休業は出世に響く?男性の育休取得をはばむ見えない風圧とは【子持ち男性242人にアンケート】

育児休業は出世に響く?男性の育休取得をはばむ見えない風圧とは【子持ち男性242人にアンケート】

厚生労働省発表によると、男性の育児休業取得率は2.3%(※1) 。男性の育休取得に対し社会の関心は高まってきていますし、育児・介護休業法に基づく制度としては男性も取得できるはずですが、実際の取得率はなぜこんなに低いのでしょうか。キャリタス転職では、25~34歳の子持ちの会社員男性242人にアンケートを実施し、男性が「育児休業」を取得しない(できない)理由について調査しました。

そもそも育児休業とは?

そもそもですが、育児休業とは何なのでしょうか。厚生労働省の示す定義では「労働者が原則として1歳に満たない子を養育するためにする休業」です(※2)。育児・介護休業法では、「父母がともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達する日までの間に1年間取得可能」と定められています。このように法律に基づいた休業の制度が「育児休業」と言われています。

育児休業期間中は仕事をしていませんから会社からの給与がなかったり減額されたりしますが、雇用保険から「育児休業給付金」が支払われます。これは育児休業開始から180日目までは給料の67%、181日以降は給料の50%となります(※3)。

取得した人の、休業期間はどれくらい?

弊社が実施したアンケートでは、「1人めのお子さんが生まれた後、育児休業を取得しましたか?」という質問に対し12.4%と、厚生労働省発表の数値(2.3%)より高い取得率が得られました。

childcare-leave-men_01.png

もしかすると、会社の規程により妻の出産前後に数日間取得できる「配偶者出産休暇」と混同している人がいたのかもしれません。これは「どれくらいの期間、取得しましたか」の問いに対し、「13日以内(43.3%)」と回答した人が一番多いことからも推測できます。

childcare-leave-men_02.png

育休を取得した人の取得期間は、2週間~1カ月以内が30.0%、1カ月~3カ月未満が20.0%、3カ月~6カ月未満が6.7%。1カ月以上の育児休業を取得した人は、アンケートに回答した子持ち男性の3.3%に当たります。

育児休業の取得をはばむ目の前の敵は「取りにくい雰囲気」

育児休業を取らなかった人に、複数選択可でその理由を尋ねたところ、

1.男性で育児休業を取った事例がなく、取りにくい雰囲気があった(39.1%)

2.仕事が忙しく、調整できなかった(31.1%)

3.当時、会社に育児休業の制度がなかった(25.0%)

4.休まなくても十分に妻は大丈夫だと思った(22.6%)

5.育児休業中、収入が減ると生活できないと考えた(22.1%)

が上位を占めました。休みを取りにくい空気と、収入とのバランスで悩んでいる様子が読み取れます。

フリーコメントでも、「男性が育児休業を取得した前例がほとんどなかったため、そもそも選択肢に入れていなかった」、「別の理由で休んだ」、「年休で済ませた」、「有給で対応した」などの回答があり、社内に育児休業を取りにくい雰囲気が存在することを伺わせます。

育児休業を取得すると、将来の人事で不利になる?

というTwitterへの投稿が1万回以上リツイートされ、話題を呼びました。

弊社が実施したアンケートでも、「育児休業を取得することは出世に影響すると思いますか」という問いに対し、「悪いほうに影響すると思う」と回答した人は52.0%、「影響しないと思う」が33.0%、「良いほうに影響すると思う」が14.8%で、先のツイートを裏付けるかのような回答です。

また、「今後、子供が生まれる場合、育児休業をとりたいと思いますか?」という問いには「いいえ」「迷っている」と回答した人の合計が65.3%と、男性が育児休業を取得することに対してのマイナスイメージが強いことがわかります。

childcare-leave-men_04.png

「育児休業の取得をしたくない、または迷っている理由はなぜですか?(複数選択可)」についての回答は、

1.男性で育児休業を取った事例がなく、取りにくい雰囲気がある(42.4%)

2.仕事が忙しく、調整できなさそう(34.8%)

3.休んでいる間の仕事を頼める人がいない(22.7%)

その他フリーコメントでも、「今後の昇格・昇給で制度上明らかに不利になる」、「休む=残業ができない=給料が減る=生活が成り立たない」、「給料が減るので生活できないから。100%支給であれば取得する」と、今と将来の経済的不安をあげる人も少なくありませんでした。男性が育児休業を取得しづらいのは、一家を支えるために必要な収入の問題と、「将来の出世に響くのでは」という不安が大きく横たわっているようです。

育休を取得する男性に対するまわりの反応は?

「もし自分と同じ職場の男性の同僚が育児休業を取ったらどう感じますか?(複数選択可)」という問いに対しては、

1.良いことだと思う(62.8%)

2.同じ働く父として復職後も応援したい(40.0%)

3.忙しいのによく取れるなと思う(22.3%)

4.前例ができるので、次に子供が生まれるときは自分も取りたいと思う(13.6%)

5.代わりに仕事をしなければならないので迷惑に感じる(13.2%)

という結果に。

フリーコメントでも、「あまり昇進などは考えていないのかと思う」、「金銭面に余裕がある人なんだなと思う」、「自分には取る勇気が無いが、勇気がある人には積極的に取ってもらい、今後会社内で取りやすい雰囲気を作ってもらいたい。自分は嫌な顔をせずに応援してあげたいと思う。仕事復帰しやすい雰囲気も作ってあげたいと思う」というものがありました。これらの回答からも、「育児休業を取れるものなら取りたいけれど、昇進や経済面を気にして取れない」実態と、「取れる人がうらやましい」というニュアンスが読み取れます。

思い切って育児休業を取った男性の感想と現実は?

実際に育児休業を取得した男性に、「育児休業を取ってよかったと思いますか?」と質問したところ、「はい」が90%。「育児休業を取得して、どんな点がよかったですか?(複数選択可)」という問いには、

1.産まれたばかりの子供に長時間接することができた(59.2%)

2.積極的に家事・育児に参加できるようになった(55.5%)

3.妻の負担を軽減することができ、感謝された(48.1%)

4.家事の大変さがわかった(37.0%)

と、家庭内でのメリットをあげる人が多数でした。非常に満足度の高い一方で、

・会社での男性の育児休暇の取得を推進することができた(7.4%)

・休んでいる期間に育児の合間を縫ってスキルアップできた(3.7%)

と、育児休業取得が職場環境の改善や自身のスキル向上にまでメリットをもたらしたと考える男性は少数です。

男性が安心して育児休業を取得するためには…

今回のアンケートに回答した男性の51.2%には、2人以上の子供がいます。「2人め以降のお子さんの出産時、妻が入院している間に上のお子さんの世話は主にだれがしましたか?」という質問には、40.3%が「自分」、39.5%が「妻の両親」、16.9%が「自分の両親」と答えています。

2人め以降の出産時には、「上の子供の世話」というタスクが増え、男性のより積極的な育児参加が求められます。子供を産んだばかりの女性にとって、育児休業を取得してくれる男性はこの上なくありがたい一方で、日本において男性の育児休業取得はまだまだハードルの高いものといえそうです。

男女を問わず、今後子を産み、育児により積極的に参加するためには、単なる取得実績だけでなく、「育児休業を取得しても出世できる」という実例が増え、安心して取得できる環境が望まれます。

【調査概要】
調査方法:インターネット調査(キャリタス転職独自調査)
回答者:全国の25歳~34歳で子供がいる既婚の男性会社員
有効回収数:男性242名
調査時期:2016年3月14日

※1 平成26年度雇用均等基本調査(確報版)│厚生労働省

※2 育児・介護休業制度ガイドブック│厚生労働省

※3 育児休業給付について│厚生労働省職業安定局


あわせて読みたい!

男性が子育てしながら活き活き働く方法は?

結婚と転職、どちらが先か?両立のコツとは【男性編】

転職を考える前に! 20代パパ&ママへの子育てサポート情報

関連記事

著者情報

著者アイコン
佐々木 小夜子
大学卒業後、世の中の多くの事象に触れたいという願望から、正社員・アルバイトを問わず多くの職種を経験。その頃に得た人間観察力から、独自の“ヒト分類”を得意とする。記者5年の間にインタビュー・資料の読み解きを十八番とした。趣味は土木構造物や建築物の観察。